2025年2月23日日曜日

隠しておいた通帳、どこに行った?

細々と貯めたへそくり

家計は全て管理されていた。

いくら入ってきて、いくら出ていくのか。

夫がほぼ把握していたので、自由になるお金はほとんど無かった。

そんな中でも、少しずつ小銭を貯めてへそくりを用意した。

これは、いざという時に使うことになる心強いお守りだった。

小銭だから微々たるものだけど、あるのと無いのとでは大違いだ。

長い期間をかけて貯めたもので、額にしたら数万円程度。

これがようやく役立つのではないかと思った。

さて、大切なこのお金をどうするべきか。

そのまま持っているのは不安が大きい。

ここはやはり、こっそり隠し持っていた通帳に入れておくのが一番良いと考えた。

そこに入れておけば気づかれずに済むはずだ。

その口座のことを夫は知らない。

だから、家を出る準備として利用するのに都合が良かった。

実は以前も少し貯まったタイミングで何度か貯金しておいた。

つまり、家出貯金は着々と進んでいたことになる。

ただ、これが見つかったら今までの苦労が水の泡になってしまうから。

念には念を入れて一番奥の一番下にしまいこんだ。

それでも安心できなかったんだけどね。

万が一気づかれてしまったらと考えるのが怖かった。

そしてライブの日。

夫が出かけて、またとないチャンスがやってきた。

貯めてきたお金を口座に移すことができる!

そう考えたら、何だか急に家を出るということが現実味を帯びてきてじわじわと喜びがわき上がってきた。

余談だが、プールしていったのは小銭でも千円以上になったらお札に替えた。

小銭なんてジャラジャラもっていたら、それこそ夫に勘づかれてしまう。

だから、お札にして見つからない場所に貯め続けた。


通帳が見つからない・・・

おかしい。

隠しておいた場所に通帳が見当たらない。

一瞬、『あれっ?記憶違いかな?』とも思ったのだが。

間違えるはずが無かった。

棚の中でも一番端を選んで、動かしたことが分からないように何度も確認した。

夫の記憶ってどうなっているんだろうと思うほど些細な変化に気づかれてしまう。

だから、この時は本当に慎重に上のものをずらして上手く潜り込ませた。

これで万全なはずだった。

でも無いということは・・・。

間違いなく夫だと確信した。

あれだけは見つかってはいけなかったのに。

私は落胆してその場に座り込んだ。

中に入っている金額は微々たるものでも、内緒にしておける通帳があるというだけで心強かった。

それが無くなり、途方に暮れた。

これからどうしよう。

咄嗟には何も思い浮かばず、とりあえず今日の予定は全てダメになってしまったなーなどとぼんやりと思った。

でもどこかに移動させたのだとしたら、一体どこにやったのだろうかという疑問も出てきた。

本当は返して欲しいけれど、まずその話を切り出すことができない。

結局、帰宅した夫に聞くことはできなかった。

きっと聞いたところで、

「こんなの持ってたんだ。何に使うやつなの?」

などと聞かれてその場を取り繕わなければならなくなる。

そんなシーンを想像しただけで吐き気を催すほど緊張した。

あれはもう諦めなければならないのかもしれない。

また一から計画を立て直さなきゃなのかな。

小さな目標のようなものが急に無くなってしまい、その日はショックでその後自分がどのように過ごしたのかを覚えていない。

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