戻りたい元夫
『元に戻りたい』、これは元夫が抱いている願望だ。そして、未だに『戻れるかもしれない』と考えていることも知っている。
そんな思考になってしまう半分は私の責任だ。
元夫はとても怖かった。
今でもその恐怖を忘れることができず、いつも穏便に済ませようとしてしまう。
万が一強気に出て何かあったら大変だから。
その影響が自分だけにとどまるとも限らないので、どうしても慎重にならざるを得ない。
そうすると曖昧な態度になってしまい、そこに希望を見出してしまうのだと思う。
心の中では100%全力で拒絶しているというのに。
面と向かっては言えない私の弱さ・・・。
子どもは今は安全だと思っているから以前よりも自由に行動できるようになった。
離れたばかりの頃は常に監視されているような不安があったので、いつもソワソワ。
家の中に居ても急にやってくるのではないかと落ち着かない。
それで、勇気を出して『急な訪問は困る』と伝えた。
たったこれだけのことなんだけど、私にとっては決死の覚悟だった。
それくらい元夫はキレやすかったので、それを言う時も色んなことを想像してしまって体が強張った。
話をした時には面白く無さそうにしていたけど、それでも一応は伝わったと思う。
電話もしたくないと言えれば楽なんだけど。
今はほとんど出ないようにするだけで精一杯だ。
ただ、子どもの番号を教えろと言われた時にはさすがにはっきりと断った。
これからも聞かれたら困るから、明確に意思表示をしたつもり。
まったくいつになったら忘れてくれるんだろう。
どうせ、私たちへの愛情なんて無いだろうに。
とりあえず離婚、に合意してもらったという奇跡
離婚はある程度は計画的だった。
でも、いざとなったら予定通りには進まなかった。
元夫に納得してもらうのは不可能に思えるほど難航した。
何度かの家出を経て私の方の気持ちはある程度固まっていても夫の方は違う。
上手くやれていると勘違いしていて、『自分の言うことが絶対』というマイルールもある。
それで、私も計画を練って
「今のままいくのは厳しい。一度離れて今後のことを見つめ直したい」
と訴えた。
そうしたら、元夫は
「それなら離婚じゃなくて別居でも構わないだろ」
と言ってきた。
そりゃーそうだ。
確かにこの言い方だと物理的に離れれば良いことになってしまう。
私も焦って再び色んな言い訳を考えて、
「戸籍上のつながりがある状態では気持ちを整理できない」
と粘った。
結局最後までこの線でいくことにして、元夫が懐柔しようとしてきてもキッパリと拒絶した。
今怖い思いをしても、それで離れられるのなら・・・。
とにかく必死だったし、子どものためにも早く決着をつけたかった。
ただ、これが上手く行ったのは正直奇跡だと感じている。
あの策士の元夫がこんな提案を受け入れるはずがないと心のどこかで思っていた。
それなのに、予想以上に上手くいってしまった。
これには自分でも驚いて飛び上がりたくなるほど喜んだのだが、
『時期が来たら戻るんだから。それは忘れるなよ』
という言葉で一気に現実に引き戻された。