2025年8月7日木曜日

このタイミングで見捨てるのは鬼なのか

心の拠り所にされても困る

お義兄さんのことで夫も心労を抱えていることは感じていた。

仲の悪い兄弟だって、こういう時はやはり引きずられるものだ。

自分もようやく復調したばかり。

仕事だって再会して順風満帆に見えたのに、こんなことが起きるなんて。

流石にこの状況には私も同情した。

ただし、当事者としてでなく外部の人間として。

私はもう、夫とは離婚する身だ。

まだ戸籍の上では繋がっていても、手続きだけの問題。

こちらはいつ離婚届を出しても良いという感じだったから、この件で夫が動かなくなることを不安に思っていた。

義両親はお義兄さんのことで手いっぱいになり、夫の面倒までは見られなくなった。

それまではうちで一緒に過ごすことの多かったお義父さんもお義兄さんの病院に通うようになり、夫は独りぼっち。

あの人は、あんなに威張って居る癖に独りぼっちに耐えられない。

だから、最初はお義兄さんに対しても噛みついていたみたいだが。

相当具合が悪そうだと分かり、当たることができなくなった。

それで困って思い出したのが私の存在って・・・。

困る、困るのよ。

そういうのが本当に困るのよ。

お義兄さんのことがきっかけとなり、余計に執着されそうな雰囲気があった。

それが怖くて、離婚交渉なんて中断しても良いから連絡を取りたくないと思ったほど。

執着って言っても色んな度合いがあると思うけど、夫のは凄かった。

引いてしまうほどの凄まじさで、離婚した後も完全に解放されないのはそのせい。

離婚前なんてまだ『自分の妻』という意識があるんだから、手放せるはずがなかった。


「見捨てないわよね?」というお義母さん

ゴタゴタした状況だったから、私が夫を気遣ってやり直してくれると思ったらしい。

そんなはずがないのに。

これまでのことを見ていたのに、よくそんなことが言えるなと思ったのだが、お義母さんは何のためらいもなく、

「(夫)のこと、見捨てないわよね」

と言った。

「私たちは今、(お義兄さん)のことでいっぱいいっぱいだから」

とか、

「あの子(夫)もどうにかなっちゃうんじゃないかと心配で」

とか同情心を煽るようなことも言ってきた。

でも、私にはどうにもできなくて困ってしまった。

そもそも、お義兄さんの事と私たちの離婚とは全くの別問題だ。

それをいっしょくたにされても、『はい、そうですか』とはならない。

どさくさに紛れて何を言うつもりなのかと身構えていたら、

「あなたが優しい人だって知ってるわ」

と反応に困るような攻め方をされ、

「まだ、あなたたちは戻れるんだから」

と強引に話をまとめようとした。

お義母さんは涙声だった。

そんな雰囲気に弱いので、今までだったら簡単に絆されていたと思う。

だけど、この時なぜか夫に泣かされた子どもの顔が頭に浮かんできて嫌悪感を覚えた。

私の脳が、記憶が。

騙されてはいけない!と伝えていたのかもしれない。

結局、最後までお義母さんの望んでいるような返事をすることは無かった。

そして義兄は家も妻も失った

残ったのは借金だけ お義兄さんたちとの連絡を絶った。 元々直接つながっていたわけではないのだが。 義両親からの連絡も、それ関連の時はだんまりを決め込んだ。 関わってもろくなことが無いというのは既に分かっていたこと。 それでも、夫との未来を考えている時にはできるだけ寄り添おうとした...