虐待をしていても親権が欲しい夫
離婚することが決まった時、色々話し合わなければならないことが残っていました。例えば親権のこともそう。
どちらも『自分が育てたい』と主張して譲りませんでした。
子どもを押し付け合うよりは遥かに良いことだと思います。
でも、そうは言っても夫は虐待していたのです。
どう考えても、そんなことを言える立場にないのでは?と白けた気持ちで見ていました。
正論を伝えても自分にとって不都合なことは認めない夫。
結婚生活もそうでした。
自分に都合が悪いことには目をつぶり、全てスルーしていました。
そのくせ、私たちの些細な失敗には激怒してなじります。
こんな自分勝手な父親に育てられたら子どもは一体どんな風に育つでしょうか。
きっと真っすぐになんて育たない。
少なくとも幸せにはなれないことだけは確かだと思い、親権は譲れないことを根気良く伝えました。
これが共同親権が始まる前で本当に良かったと心底思います。
そんな制度が出来てしまったら、きっと上手く利用してきたことでしょう。
そういう所に抜かりのない人でもありました。
口も上手く、議論では絶対に負けないと自負する人であり、議論する必要のない私たちにまでその調子で責め立ててくる夫。
私たちにとって愛すべき家族ではなく恐怖の対象でしかありません。
子どもから見たら、一緒に居るだけで息の詰まる父親と二人きりの生活なんて耐えられるはずもなく、これだけは譲れないと最後まで主張しました。
なぜあれほどまでに親権を欲しがったのかは分かりません。
攻撃的で人を傷つけるような性格ではありましたが寂しがり屋という一面も持っていたので、もしかしたら一人になることに耐えられなかったのかも、とも考えています。
だけど、私たちは道具ではない。
血の通った人間で、色んな感情を持っています。
だから、どうか寂しさを埋めるためだけに私たちを利用しないで欲しい。
そんな気持ちで夫との交渉に臨みました。
形式に囚われたくない夫
親権以外にも決めなければならないことがありました。
養育費のことです。
この件に取り掛かる前に先に親権を決めなければならなかったので、話し合いは離婚する直前になってしまいました。
養育費のことでは忘れられない言葉があります。
「毎月決まった額を払うとか、ああいう形式的な物に囚われたくない」
これ、もちろん夫の発言です。
元々仕事をしていなかったので、
「収入もないから毎月払うとかは厳しいけど・・・」
と言うだろうと思っていました。
あるいは、
「申し訳ないけど、仕事を再開するまで待ってくれる?」
なんて言われるのではと想像していました。
でも、実際の夫の発言は私の想像の遥か斜め上を行っていました。
改めておかしな人なんだな・・・というのが正直な感想です。
これで『子どものことが大事だ』なんて力説するんですから笑っちゃう。
本当は大切でも何でもなかったのでしょう。
ただ単に執着していただけ。
もしかしたら、そんな簡単なことに本人が気づけていなかったのかもしれません。
元々期待はしてなかったんですけどね。
夫からお金をもらってしまったら、子どもに会わせろと言われた時に断りにくくなるのも嫌でした。
だから養育費は払わない、というスタンスが分かった時にはガッカリするのと同時に心のどこかで安堵していました。
それほどまでに縁を切りたかったのです。
物理的にも精神的にも、もう二度と私たちを傷つけないくらいのところに行って欲しい。
夫に期待したことは、ただそれだけです。