拒否しても通じない言い分
その夜、予想通り電話がきた。夫は、結局お昼過ぎまで
部屋で過ごしていたのだと言う。
あまり長い時間過ごされるのも嫌だから、
「今度からは一緒に家を出て」
と遠回しにお願いした。
本当は、家に来られること自体が嫌だった。
万が一来てしまっても、
一人にしたくなかった。
こういう話をすると、いつも決まって
「家族なんだから」
と言う。
もう既に、私たちの中では
夫は家族ではなかった。
そんなことを言えば何が起きるか、
分かっていたから言えなかったけれど。
鍵の話になった時も、
「家族だから持っていたい」
のだと言う。
せっかく離れているのに、
何一つ要望は聞き入れてもらえず、
夫のペースで話が進んでいく。
これが、
力関係の歪な夫婦の難しさだと思う。
さて、夫の本題は
ゴールデンウィークのことだった。
最初の要望は、子どもを泊まりによこせ。
それは絶対に無理だから強く拒否したが、
次に出されたのは、
1日遊びに行くという妥協案だった。
手紙にもそう書かれていたが、
子どもは読んでいない。
「(子ども)は何て?」
そう聞かれて、私は正直に答えた。
手紙は読んでいないこと。
読むのを嫌がるくらいだから、
一緒に遊びに行くのも難しいこと。
どうせ反論される。
それでも、正直に話すしかなかった。
譲歩に見せかけた押しつけ
最終的に提案されたのは、
夫と義両親の3人が家に来て、
1日過ごすという案だった。
1日って、
何時から何時まで?
そんな言葉が、
喉の奥まで出かかる。
数分だって嫌なのに、
朝から晩までなんて耐えられない。
そう思った。
しかも、狭い部屋に
大人4人と子ども1人。
座る場所も選ぶようなスペースで、
息が詰まりそうだった。
当然拒んだが、
まるで最初から決まっていたかのように、
話は進んでいく。
朝の8時前から来て、
一緒に夜ご飯まで食べる。
それが最大限の譲歩らしい。
義両親は朝が早く、
5時台から起き出す。
だから、嫌な予感はしていた。
せっかく立てていた予定も、
連休の真ん中で崩れることになった。
電話を切った後、
呆然としながら子どもに伝えた。
断れなかった自分が情けなくて、
子どもに申し訳なくて、
せっかくの休みを台無しにしてしまった気がした。
それからの一週間、
重たい気持ちを引きずったまま過ごした。
世間が少しずつ浮かれ始める中で、
私の気持ちだけが、
静かに沈んでいった。
