知らされた衝撃の事実
子どもの学年が一つ上がり、
私の仕事も、少しだけ幅が広がった。
責任は増えたけれど、
それでも、自分の意思で働けることを、
ありがたいと思った。
そんなふうに、新しい生活に
少しずつ慣れ始めていた頃だった。
夫にも、
変化があった。
仕事を辞めていた。
「まさか」と思う気持ちと、
「やっぱり」という気持ち。
どちらも同じくらいあって、
正直、がっかりした。
会社の経営が
厳しいとは聞いていたから、
もしかしたら
仕方のない事情なのかもしれない。
そう思おうとした、
その時だった。
「なんか違うと思って辞めた」
あまりにも
あっさりした理由に、
言葉が出なかった。
せめてもの気持ちで、
「経営も大変そうだったしね」
と言ってみたけれど、
「あれから持ち直して、
今は増員してるらしいよ」
と返ってきた。
ああ、やっぱり。
この人は、こういうところがある。
少しでも嫌なことがあると、
そこから離れてしまう。
それなのに、子どもには
「逃げるな」
と言う。
その矛盾が、
どうしても引っかかった。
子どもに擦り寄る夫
仕事を辞めてから、
しばらくして。
夫は子どもに、
こう言うようになった。
「将来、パパを養ってくれ」
あまりにも繰り返すので、
「言いすぎると嫌われるよ」
と伝えた。
子どもと直接やり取りを
したがっていたけれど、
私はそれを、避け続けた。
過去に、
恐怖で子どもをコントロールしていたからだ。
また同じことが
繰り返されるかもしれない。
そう思うと、
簡単にはつなげなかった。
だから、
その言葉も私を通して伝えられる。
でも実際には、
私は伝えなかった。
小学生の子どもに、
将来の責任を背負わせるようなことを、
どうしてもそのまま
届ける気にはなれなかった。
それでも夫は、
しばらく同じことを言い続けていた。
やがて、
その言葉の矛先は私に向いた。
「俺を見捨てるのか」
そう言われると、
心が揺れる。
こういう言葉に弱いことを、
きっと、分かっているんだと思う。
それでも、
どこかで『かわいそうだ』と
思ってしまう。
そんなふうに迷い続けたけれど、
最後は、夫を見捨てた。
