2026年3月3日火曜日

恐怖!夫の突撃訪問

寄り道してケーキ屋へ

誕生日当日。


帰り道、

少しだけ寄り道をした。


向かったのは、

近所のケーキ屋。


とはいえ、

ホールケーキを買ったわけではない。


自分のために

誕生日ケーキを買うなんて。


考えただけで、

なんだかくすぐったい。


でも、

何もないのは寂しい気がして。


子どもが、

がっかりするかもしれないと思って。


シュークリームを、

三つ買った。


三つにしたのは、

子どもに二つ食べてもらうため。


一つだけじゃ、

少し物足りない気がしたから。


私たちにとっては、

それだけで特別だった。


小さな贅沢。


それだけで、

心はじんわり満たされた。


帰宅して、

さっそく準備を始める。


いつもなら遊んでいる子どもも、

その日は率先して手伝ってくれた。


その姿が、

ただただ愛おしかった。


深夜の恐怖

食事を終え、

二人でテレビを見ながら

ゆっくり過ごしていた、その時。


——ピンポン。


突然、

インターホンが鳴った。


心臓が、

ドクンと大きく跳ねる。


一瞬で、

空気が変わった。


誰。


そう思った瞬間、

答えは分かっていた。


音を立てないように、

そっとドアへ近づいた。


電気はついている。


居留守だと、

すぐに分かるだろう。


それでまた怒り出したら——


そんな考えがよぎり、

体がこわばった。


震える指で、

スコープをのぞいた。


ドアの向こう。


そこにいる。


姿ははっきり見えなくても、

分かる。


夫だ。


ただそれだけで、

胸の奥が冷えた。


どうして、

こんな日に。


こんな幸せな夜に。


一番会いたくない人が、

どうしてここにいるのか。


悲しいのか、

悔しいのか。


自分でも分からないまま、

息を殺した。


ただ、

帰ってくれるのを待った。


けれど。


時間が過ぎても、

帰る気配はない。


それどころか——


「(子ども)〜、パパだよ〜」


突然、

大きな声が響いた。


やめて。


近所に聞こえる。


迷惑がかかる。


でも。


ドアは、

開けたくない。


開けられない。


静まり返った室内と、

ドアの向こうの気配。


もはやこれは、

心理戦だった。


引けば終わる。


でも、

引けない。

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