頻繁な呼び出し
別居生活が長引けば、夫の執着も薄れるだろう。
そんな期待は、
見事に打ち砕かれた。
まったく音沙汰のない時もある。
けれど、
頻繁に連絡が来ることもあり、
常に気を抜けなかった。
そんな中でも困ったのが、
突然の呼び出しだ。
急に連絡をしてきて、
「会いたい」
と言う。
それが子どもに対してなのか、
それとも私になのか。
もし子どもへの言葉なら、
答えは『拒絶』一択だった。
その空気を感じ取っていたのか、
夫は計算したように、
「二人に会いたい」
そう言ってきた。
それも迷惑な話だし、
子どもにとっては、
悪夢の時間であることに変わりはない。
言われるたびに、
何とか理由をつけて断ろうとした。
納得しない夫を相手に、
私なりに必死だった。
それでも、
思い通りにいかないこともある。
渋々応じたことも、
一度や二度ではない。
連絡を無視できなかったのか。
そう聞かれることもある。
でも、
そんな度胸はなかった。
鳴り続ける電話。
電源を切る勇気もない。
着信ランプを見るたびに、
携帯を捨ててしまいたいと、
何度も思った。
プレゼントも拒否
家に来たいと言われても、
そのたびに断った。
もっともらしい理由を並べたけれど、
本当はただ、
人目のない場所が怖かっただけだ。
家まで来られるのは困る。
だから、
義実家と自宅の中間地点を提案した。
それなら納得すると思った。
ただ、
その場所には何もない。
飲食店も、
ほとんどなかった。
夫は子どもと食事をしたがり、
結局、
自宅に近い大きな駅で、
食事をすることが多くなった。
でも。
一緒に食べると言っても、
子どもは緊張で喉を通らない。
その様子を見て、
夫が怒る。
悪循環だった。
お互いに嫌な思いをするのに、
夫は頑なに、
食事に行こうとした。
「欲しい物を買ってやる」
そう言われた時も、
子どもは首を横に振った。
「今、欲しいものはない」
それはきっと、嘘だ。
パパに買ってもらいたくなかったのだと思う。
気分を害した夫は、
食事中のテーブルに、
五千円札を叩きつけた。
「お前が何か買ってやって!」
それだけ言うと、
店の外へ出て、
涙を拭っていた。
この人は、
どうして人に罪悪感を持たせるのだろう。
この場で、
一番傷ついているのは、
子どもなのに。
