通学時に何度も被害に・・・
家から大学への道のりは電車を乗り継いで1時間半くらいだった。一限がある日は早朝に家を出て、帰りは大抵そのままバイトに向かった。
結構忙しくしていたので電車の中で寝てしまうことも多く、気づいたら降りる駅を過ぎていたなんていうことも。
ある日の帰り道、疲れてぐっすり眠ってしまった時があった。
目が覚めたらかなり時間が経っていて、慌てて駅を確認しようとしたのだが・・・。
振り返ろうと体を動かしたくても何故か上手く動かせない。
『あれっ?何かおかしい!』と感じ、ボーっとしながらも懸命にその違和感の正体を突き止めようとした。
その正体はすぐに分かった。
隣に座って居た男性が、なんと私の袖口をギュッと掴んでいたのだ。
驚きながら何とか手を動かそうとしたが、力が強くてなかなか離してもらえなくて。
周りの人にも全然気づいてもらえないし、どうしよう・・・と思っていたら、大胆にもその人は手を握ってきた。
もう何が何だか分からなくなり、パニックになりながら必死で立ち上がってちょうどドアが開いたのを確認して電車から飛び降りた。
本当は降りる駅では無かったんだけど仕方がない。
チラっと見た感じではビシッとスーツを着た若いサラリーマン風の人。
身なりは本当に普通なものだから余計に混乱した。
この件以外にも痴漢被害にはたびたび遭っていて、朝も多かった。
一限が無い朝、少しのんびり行っていてウトウトしてしまい、起きたら太ももの上に手を置かれていたことも・・・。
驚いたのなんのって。
一瞬事態を把握できず、『えっ?何で?』と考えてしまった。
そんな感じだったから、電車に乗る時は周りにどんな人がいるかを観察するようになった。
狙われた理由
これだけ痴漢に遭いやすいということは何らかの理由があるのだと思う。
でも、私は大人っぽいわけでもなければナイスバディでもない。
ごくごく普通の学生だったし、派手でもなかった。
派手か地味かで言えば地味に近い。
バイトで棚整理をしていた時、知らない学生服の二人組から唐突に、
「大人しい系か・・・」
と言われたこともあり、人目を引くような派手なタイプでないことだけは確かだ。
服装は?と問われれば、露出をしていたわけでもない。
何ならふんわりとした服が多かった。
だから、本当に理由が分からなかった。
思い当たる事があるとすれば、『何かあっても声を上げなそう』と思われていたとか?
それくらいしか考えられなかったのだが・・・。
夫と出会ってああいう被害を受けてから何となく分かった気がした。
きっと『思い通りになる相手』と見られていたのだと思う。
そうでなければ、夫があれほどまでに何でもゴリ押ししてくることへの説明がつかない。
あー、でも夫はサイコパスな人だからそうでなくても虐めてきたかな。
夫だけでなくお義父さんからも
「意外と頑固だな」
と言われていた。
きっと、扱いやすいと思われていたに違いない。
『意外と』という発言には『思ったよりも』という枕詞が隠されている。
もっと素直に言うことを聞きそうだと思ったのに、という感じだと思う。
家を出てからは、そういう自分から脱却するためにできるだけ意見を言うようにしている。
少しずつでも変わっていければ良いな。
