2026年10月20日火曜日

楽しい時間を壊す夫

楽しい時間の余韻

映画を楽しんだ後、

私たちはぶらぶらと散歩した。


夏と言っても、

昼間ほどの不快感はない。


時折吹く風が気持ち良くて、

どこまででも

歩いて行けそうな気がした。


出かけたのは大きな駅で、

たくさんの人が集まってくる。


夜になっても人の波は途切れず、

街はとても賑やかだった。


歩きながら、

ふと先ほどの電話のことを思い出す。


思わず携帯を確認しようと

バッグから取り出したのだが、

子どもも気にしていたようだ。


「電話出なくて大丈夫だったかな」


不安そうに言うので、

安心させるために、


「気にしなくて良いよ。

どうせ大した用事じゃないよ」


と答えた。


内心は私もとても気になっていて、

折り返すべきか迷っていた。


でも、

子どもの前で折り返す気にはなれず、

後でこっそりかけようと思った。


本当は、

夏休みは義実家に呼び寄せて

子どもとの時間を作りたかった夫。


それが叶わず、

不満を溜めていた。


子どもの気持ちもあるから、

この件に関しては一歩も譲らず、

結局、夫や義両親が諦める形になった。


既に夏休みも始まっているし、

今さら文句も言ってこないだろう。


では、一体何の用があるのか?


そんなことを考えながら、

この時はまだ

楽しい時間の余韻に浸っていた。


突然の「今から行く」

携帯の画面を見た瞬間、

血の気が引いた。


電話だけでなく、

メッセージも入っていたのだ。


「また後でかけよう」


そんな軽い感じではなく、

すぐに連絡を取りたいのだと分かった。


恐る恐る画面を開き、

夫からのメッセージを確認する。


この時、

表情を変えないように気を使った。


そこで最初に目についたのは、


「今から行く」


という言葉。


メッセージが届いたのは

30分くらい前だった。


義実家からなら、

あと1時間くらいで到着する。


慌てて時計を確認したけれど、

どうしても足が動かなかった。


先ほどまで楽しげに見えた風景が

まるで夢だったみたいに

一気に色を失っていく。


携帯を握りしめたまま、

しばらく固まった。


子どもはそれに気づかず、

目の前の風景に感嘆の声を上げた。


いや、

本当は気づいていたのかもしれない。


そうだとしても、

まだ楽しんでいたかったはずだ。


結局、

私は帰らないことを選んだ。


その代わりに、

夫にメッセージを送った。


「今、出先で、まだ帰れない」


たった一言送信して、

返事を待たずに携帯をしまった。

楽しい時間を壊す夫

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