夫を納得させた提案
「俺が家庭教師をする」そんな恐怖の宣告を受けて、
内心、とても慌てた。
子どもと夫が
二人で過ごすなんて、
絶対にだめだ。
たとえ夫が反省しても、
未来永劫、許してはいけない。
焦った私は、
どうすれば回避できるかを考えた。
そして、ひとつの答えに辿り着いた。
塾に通うこと。
この時の子どもの反応は――
実は、とても喜んだ。
元々、本人が希望していたから。
堂々と通えるようになることが、
よほど嬉しかったようだ。
「これからは、
こそこそ行かずに済むね」
そう言ってくれたので、
私もほっとした。
ただ一つだけ、
気になることがあった。
家計状況を
夫に詳しく開示してしまった。
これは失敗だった。
ちょっとずつ浮かせたお金で、
週末、二人でお出かけをしていたのに。
それもできなくなりそうだった。
束の間の癒しだったし、
その時間があったから
頑張れたというのもある。
それが急に無くなるなんて。
戸惑いと、
残念な気持ちと。
なかなか諦めがつかなかった。
癒しの時間を求めて
「これからは、
遊びに行けないのか……」
子どもがポツリと言った。
こんなことを
言わせてしまうなんて、
本当に最低だ。
責める意図がないことも、
分かっていた。
ただただ「残念」という気持ちが
こちらにも伝わってきて、
思わず、
「どうにかならないかなー」
と呟いた。
それから私たちは、
毎週末を家で過ごした。
たまにできる贅沢は、
せいぜいスーパーで
デザートを買うくらい。
ある時、子どもが言った。
「もっとご飯も少なくて良いから、
時々は出かけようよ」
バカなことを言ってはいけない。
育ち盛りなのだから。
ご飯はモリモリ食べなければ。
そう伝えたが、
「じゃあ、外食しなくても良いから
ぶらぶらしに行こうよ」
と言われた。
私たちには、
癒しの時間が必要だった。
外に出て、
自由な空気を吸い、
心身をリフレッシュする。
そんな時間を求めて、
こっそり家計を見直した。
