2026年6月29日月曜日

誰も逆らえない空気

重苦しい空間

次は何をしようか。

そんな話をするだけでも、

酷く緊張した。


夫は相変わらず無言で、

お義父さんも不機嫌なまま。


居心地が悪そうなお義母さんは、

しきりに子どもへ話しかけていた。


だけど、

子どもだって困るだろう。


返事をするだけでも、

気を使うような空気なのだから。


最悪の雰囲気の中、

耐えかねて動いたのは

お義父さんだった。


突然、

子どもに向かって小声で言う。


「ほら、パパに話しかけて」


驚いた子どもは、

「え?」

と固まった。


すると再び、


「パパに話しかけて。

そうすれば機嫌が良くなるから」


と促した。


仲介役になれ、

ということなのだろう。


この空気にやられて、

ただでさえ体調を崩しているのに。


どうやら、

この状況を変えられるのは

子どもだけだと思っているようだった。


ただでさえ青白かった顔が、

さらに青ざめる。


そして小さな声で、


「ママ、もう帰りたい」


と囁いた。


夫は分かっていない。


こういう機会があっても、

自分で全て壊している。


それなのに、

上手くいかなければ周りのせい。


そんな姿を見ていると、

やりきれない気持ちになった。


封じられた「帰る」

このままでは、

子どもの心がもたない。


そう判断した私は、


「(夫)も楽しめなさそうだし、

今日はお開きにしますか」


と提案した。


早く帰りたい気持ちは、

私も同じだった。


ところが、

義両親は納得しなかった。


そして夫も、

不貞腐れたように言う。


「こっちは、

わざわざ時間作ってるんだ」


勝手に決めたのは

そちらなのに。


まるで、

私たちが頼み込んで来てもらったかのようだった。


再び空気が悪くなる。


子どもはまた、

お腹を押さえていた。


このままではいけない。


何を言われても、

子どもを連れて帰る。


そのくらいの勇気があれば――。


言いたいことは

喉まで出かかっていた。


それでも言えずにいた時、


「私が全部悪かったわ」


と、お義母さんが口を開いた。


優しい人なのだが、

これは悪い癖だと思う。


話がこじれると、

いつも


『全部私が悪い』


で終わらせようとする。


夫は普段、

こう言われると


「そういうの、やめろ!」


と怒る。


だけど、

この時は違った。


お義母さんに

ここまで言わせて、

どうするつもりだ。


そんな目で、

私を見ていた。


卑怯だと思った。


お義母さんの言葉を利用して、

責められている側に

自分を置いたのだから。


気付けば、

私が悪者になっていて。


結局、

「帰る」

とは言えなくなった。

誰も逆らえない空気

重苦しい空間 次は何をしようか。 そんな話をするだけでも、 酷く緊張した。 夫は相変わらず無言で、 お義父さんも不機嫌なまま。 居心地が悪そうなお義母さんは、 しきりに子どもへ話しかけていた。 だけど、 子どもだって困るだろう。 返事をするだけでも、 気を使うような空気なのだから...