2026年6月26日金曜日

最初から雲行きは怪しかった

電車に揺られ、待ち合わせ場所へ

子どもと二人、

並んで座った電車。


乗客はまばらで、

まだ眠そうにしている人もいる。


いつもなら、

私たちも起きるくらいの時間だ。


疲れている時には、

まだ寝ていることもある。


そんな時間から動き出して、


気の進まない待ち合わせに向かう。


『気が重いな……』


ぼんやりと窓の外に視線を移すと、

見慣れた景色が広がっていた。


電車で出かける時、

大抵は子どもと二人だ。


いつも楽しくて、

楽しすぎて、


帰る時間になっても名残惜しい。


だけど、その日は違った。


夫との待ち合わせだから、


早くも帰る時のことを考えている。


何とか一日乗り切ろう。


頭の中には、

それしかなかった。


子どもも同じだろう。


パパの声を聞くだけで、

鳥肌が立つほどの拒絶反応を起こす。


その反応が、

全てを物語っていた。


これほどまでに嫌なのだから、


無事に終えるために

何かできないだろうか。


そう考えていた時、

ふと自分たちへの褒美を思いついた。


帰り道、

一つずつスイーツを買う。


いつもは高くて手が出せない

コンビニのスイーツ。


だけど、今日は特別だ。


我ながら良い案だと思い、

隣に座る子どもに伝えた。


聞いた瞬間、

硬かった表情が少し和らぐ。


「え~、何買おうかな」


そう言って、

口元が緩んだ。


降車駅が近づくにつれて、

また少しずつ表情が硬くなっていく。


何かを悟ったような表情が、

少し大人びて見えた。


改札で待っていた人

待ち合わせ場所は、

駅から少し歩いた所にあった。


ゆっくり歩いて行っても、

十分に間に合うはず。


改札を出て、

その方向へ歩き始めた時だった。


急に呼び止められたのは。


振り向くと、


お義父さんとお義母さんが

笑顔で手を振っていた。


待ち合わせ場所は、

駅ではない。


間違えたら夫から詰られるから、

何度も確認した。


もしかして、

急に変更になったのだろうか。


いぶかしみながら携帯を見たが、

何の連絡も来ていない。


困惑しながら聞いてみると、


「この辺りで待っていれば

会えると思って」


と言われた。


夫はそこにはいない。


聞けば、

『別々に来た』という。


どこかに寄ってから行くと、

先に出たらしい。


この時、

嫌な予感がした。


勝手な予定変更を

怒るかもしれない。


現地で会えれば良いじゃないか。

そう済ませるタイプではない。


案の定、

四人で歩いて行くと、


不機嫌な表情の夫が

こちらをじっと凝視していた。


そして着くなり怒鳴る。


『何で勝手に予定を変えた?』

と。


それに応戦するお義父さん。


なだめようとするお義母さん。


こんな風に、

最初から雲行きは怪しかった。

最初から雲行きは怪しかった

電車に揺られ、待ち合わせ場所へ 子どもと二人、 並んで座った電車。 乗客はまばらで、 まだ眠そうにしている人もいる。 いつもなら、 私たちも起きるくらいの時間だ。 疲れている時には、 まだ寝ていることもある。 そんな時間から動き出して、 気の進まない待ち合わせに向かう。 『気が重...