目の前で始まった親子喧嘩
夫とお義父さんは、しばらく激しく言い争っていた。
どちらも気が強い。
だから引こうとしない。
見ているこちらが
ハラハラするくらいの大喧嘩だった。
道行く人も、
驚いたと思う。
「何で先に言わねーんだよ!」
と夫が言えば、
「予定通りに会えたんだから
大したことじゃないだろ!」
と返す。
すると更に、
「事前に決めた意味がねーだろ!」
と夫が怒鳴る。
お義父さんは何故か、
夫に腹を立てている時だけ
『アンタ』
と呼ぶ。
この時も、
「アンタはいつもそうだ。
自分の思いばっかり、ぶつけて!」
と言った。
この呼び方が嫌いな夫は、
余計に激怒する。
収拾がつかなくなり、
私はハラハラしながら見守っていた。
流石に、
もう止めた方が良いのだろうか。
ふとお義母さんを見ると、
ばつが悪そうに微笑んでいた。
いや、
笑っている場合ではない。
どんどんエスカレートしているし、
周りにも迷惑になっている。
「……止めますか?」
お義母さんの意思を伺うように声を掛け、
返事を待った。
すると突然、
「おとうさん!
ほら、(夫)も!
やめなさいよ!」
と甲高い声が響いた。
無言の圧力
ようやく喧嘩が終わった。
気を取り直して、
予定通りに過ごすのだと
そう思っていたのだが。
突如、
夫が無視モードに突入した。
夫は一癖ある人で、
暴れたと思ったら、
今度は急に無視する。
この無視が家庭内では本当に辛く、
私たちは何度も泣かされた。
お出かけ中にも関わらず、
それが発動したというわけだ。
義両親と私たちを無視し、
ひたすら無言。
それなら別行動をすればいいのに、
それもしない。
無言でついてきて、
不機嫌だけをまき散らす。
嫌な思い出の多い子どもにとって、
これは堪えた。
お腹の調子が悪くなり、
何度もトイレへ向かう。
そのたびに夫がため息をつく。
だから子どもは、
「ごめん。
トイレに行ってくる」
と謝る。
何も悪いことをしていないのに、
謝りながら行かなければならない。
元はと言えば、
夫が原因なのに。
こういう言動が
本当に嫌だったのだと、
この時あらためて思った。
そして、
心底夫を軽蔑した。
