2026年1月20日火曜日

夫の恋愛-新たな動き

こちらから動けないジレンマ

夫に、好きな人ができた。


Nからそう告げられた瞬間、

私は心の底から、喜びを感じていた。


この日を、どれほど待ちわびていたことか。

いつかそんな日が来ないだろうかと、

ずっと夢見ていた。


それが現実になった。


嬉しさを抑えきれず、感情が爆発して、

その夜は一睡もできなかった。


眠れないまま、朝を迎えた。


翌日、私は朝からマシンガントークだった。

先輩は苦笑いしながら、


「今日はめちゃくちゃ元気だね」


そう言って、

「気を抜かず、慎重に動くんだよ」

と助言してくれた。


夫にようやく春が訪れそうなのは、

非常に喜ばしいことだった。


ただし、

ひとつだけ問題があった。


それは、

私がこの件を“知らないことになっている”

という事実だ。


Nには、内緒にするよう言われていた。

だから私は、この話を夫に切り出すことができない。


つまり、

相手から動くのを待つしかなかった。


この時間が、とても長く感じられた。


本当なら、今すぐにでもこの話題を投げかけて、

離婚の話を進めたかった。


けれど、

Nとの約束を破ることはできなかった。


もし破れば、

もう二度とNは信頼してくれないだろう。


私にとって彼は、

重要な情報源だった。


だから、耐えるしかなかった。


いつもなら憂鬱でしかない夫からの連絡も、

この時ばかりは、待ち遠しくて仕方なかった。


次は、きっとこの話だ。


そう踏んでいた予感は、

現実のものとなった。


数日後に夫からのカミングアウト

普段はメッセージで済ませる夫が、

その日は最初から通話を求めてきた。


――あの件だ。


言いたいことは、もう分かっている。

好きな人ができたことを、

私に伝えるつもりなのだろう。


私はできるだけ平静を装い、

「もしもし」

と応答した。


その日の夫の声は沈んでいて、

終始、静かだった。


「お前に言わなくちゃならないことがあるんだ……」


そう言われて、

心の中で

分かってる、分かってる

と答えながら、


「何かな?」


と返した。


すると突然、

夫は鼻をすすり始め、

涙声で語り出した。


「本当に、お前には申し訳ないと思ってる」


そう謝りながら、


好きな人ができたこと。

まだ、その人とは付き合っていないこと。

ただ、その気持ちのままで

あの部屋で待ち続けることはできないこと。


次々と語っていった。


ここまで聞いて、

私は思った。


これは、もしや――


話の流れ的に、

家を明け渡す、という展開ではないか。


期待が、膨らんだ。


ただ、この日は一言も挟まず、

最後まで黙って聞いていた。


というのも、

夫はすっかり自分の世界に入り込んでいたからだ。


正直、

その状況に酔っているように見えた。


好きな人がいる。

けれど、妻からも愛されている。

どちらかを選ばなければならない――


そんな物語の主人公にでも

なったつもりなのだろう。


最後まで黙っていたからか、

私がショックを受けていると勘違いした夫は、

何度も


「ごめんな」


と繰り返した。


内心では、

お礼を言いたいくらいだよ

と思いながら、


「ううん……、いいんだよ」


と答える私。


心の中で、

大きくガッツポーズした。

夫の恋愛-新たな動き

こちらから動けないジレンマ 夫に、好きな人ができた。 Nからそう告げられた瞬間、 私は心の底から、喜びを感じていた。 この日を、どれほど待ちわびていたことか。 いつかそんな日が来ないだろうかと、 ずっと夢見ていた。 それが現実になった。 嬉しさを抑えきれず、感情が爆発して、 その...