一方的な要求
話し合いと言っても、実際には違った。夫から一方的な要求を突き付けられ、私はただ受け止めるだけだった。
何か言おうとすると、強い口調で、すぐにかぶせられる。
だから私は、反論することを諦め、淡々と“説得する側”に回るしかなかった。
その中で、どうしても引っかかった項目がある。
・でっちあげの虐待の証拠を破棄
——でっちあげなどではない。
揺るぎない事実があり、子どもは散々苦しめられてきた。
それでも、ここで争えば、話し合いは確実に壊れると思った。
「証拠と言っても、不鮮明な画像だけだよ」
そう伝えると、今度はその画像も消すように言われた。
戸惑いながら、「あまりにも一方的すぎる」と反論すると、
「それなら、子どもに会わせろ」
また同じ言葉に引き戻される。
堂々巡りだった。
結局、私は目の前で携帯を操作し、画像を消去した。
その場を収めるために。
夫は、満足そうだった。
まるで、消えた画像と一緒に、
自分のしたことまで消えたかのように。
——そんなはずはないのに。
今後の話し合いについても、誠意をもって対応すると約束した。
そして最後に、もっとも重く、厄介な議題が残された。
家に戻れという夫
最後に残った要求は、一度、家に戻れというものだった。
もう、そんな素直な私ではない。
外の世界を知り、自由の空気を吸ってしまった。
分単位で管理されていた、あの生活。
息を潜めるように過ごしていた日々。
毎日、のびのびと暮らすようになった私たちにとって、あの地獄のような生活に戻ることなど、考えられなかった。
だから私は、一言だけ答えた。
「無理です」
その一言の中には、恐怖も、決意も、後悔も、言葉にならない思いが詰まっていた。
とても説明できるものではなかった。
すると夫は、この答えも想定外だったのか、拳でテーブルをバンッ と叩いた。
「理由を言えよ!」
怒鳴り声に、体が跳ねる。
この時点で、私は完全に怯えていた。
全身が小刻みに震え、怒鳴られるたびに、過去の記憶が蘇る。
本能が、
——逃げろ。
そう叫んでいた。
それでもなお、お義父さんは、のんびりとした口調で言った。
「一方的にそんな風に言われてもなー。
(夫)も困ってるんだわ」
何を言っているのか、理解できなかった。
私は時間が気になり、無意識に携帯の画面を何度も確認していた。
それが気に入らなかったのだろう。
夫は突然、私の携帯をひったくり、
「ふざけんなよ!」
そう叫ぶと、玄関の方へ、思いきり投げつけた。
