2026年1月15日木曜日

すぐ傍で再々再就職先を探し始めた夫

不気味な動き

居場所がバレてから、間もなくして、夫が再々再就職先を探し始めた。


そこまでは、はっきり覚えている。

けれど、それ以降の記憶は、正直あやふやだ。


頭の中が、常にざわついていた。


決まりかけた仕事を自分から断ったり、

勤め始めたと思ったら、すぐに辞めてしまったり。


その繰り返しで、

私は途中から「何社目なのか」を数えるのをやめた。


数える意味が、なくなってしまったのだ。


ただ、

「今は働いているんだろうか」

「また無職に戻ったんだろうか」

そんなことを、ぼんやり考えるだけだった。


なぜ、こんなにも続かないのか。


答えは分かっている。

あの性格のせいだ。


癖が強く、扱いづらく、

何より、自分が特別であることを疑わない。


常に敬われ、優遇され、

思い通りに扱われなければ気が済まない。


少しでも期待と違えば、不満を溜め込み、

やがてそれを誰かにぶつける。


――いつも、そうだった。


ブランクだらけで、職歴も途切れ途切れなのに、

それでもなお「理想の職場」を求め続ける。


無理だと、誰の目にも明らかなのに。


本人だけが、それに気づかない。


だから不満は消えない。

消えない不満は、必ず外に漏れ出す。


一緒にいれば、その矛先は私に向く。

……いや、違う。


私だけじゃない。

子どもも、同じように標的にされる。


私は大人だ。

耐えようと思えば、耐えられる。


でも、子どもはまだ小学生で、

大人の事情なんて、理解できるはずもなかった。


仮に理解できたとしても、

八つ当たりされていい理由には、ならない。


それなのに、夫はまた――

私たちの近くに来ようとしていた。


引っ越しをするつもりではない。

それは分かっていた。


借りている部屋は私の名義だし、

夫は自分名義で部屋を借りる気すらない。


口では色々言うが、

実際には、何一つ行動に移さない人だ。


だからこそ、

「近くに来る」という事実が、

余計に不気味だった。


近くに来る。

住むのではなく、働く場所として。


わざわざ、

私たちが住んでいる場所の近くで、

再々再就職先を探しているらしかった。


それを知ったのは、

以前の話し合いに同席してくれたNからの連絡だった。


Nとの話で分かったこと

Nからは、時々連絡が来ていた。


私から連絡することはない。

でも、近況を尋ねられれば、答えていた。


Nに恨みはない。

むしろ、できるだけ公平であろうとしてくれた人だ。


だから、信頼していた。

――していた、のだ。


久しぶりに届いたNからのメッセージは、

一見すると、何気ないものだった。


『(夫)が仕事を探し始めたみたいだよ。

これで少しは安心かな。

場所がね、どうやら(私)ちゃん達のいる所の近くらしくて。

やっぱり家族に会いたいんだろうね』


読み進めるごとに、

胸の奥が、じわじわと冷えていった。


安心?

どこが?


家族に会いたい?

その言葉が、気味悪かった。


手紙だけでは足りず、

今度は距離を詰めてくる。


そう思った瞬間、

喉の奥が、きゅっと締めつけられた。


夫の仕事は、テレワークが多いはずだ。

そう思って、かすかな希望にすがるように尋ねた。


すると返ってきたのは、


『テレワーク可でも、出勤するつもりみたいだよ』


その一文で、すべてが崩れた。


頭の中が、真っ白になった。


せっかく離れたのに。

やっと距離を取れたのに。


それでもなお、

夫は近づいてくる。


物理的に離れても、

連絡を断っても、

存在だけが、しつこく追いかけてくる。


逃げ場が、ない。


「来ないで」と言えばいい?

そんな簡単な話じゃない。


言ったところで、

「俺の自由だろ」

そう言われるだけだ。


それどころか、

また何かされるかもしれない。


そう考えると、

言葉は喉の奥で、固まってしまった。


こうして私はまた、

自分の力だけではどうにもならない現実を、

静かに、確実に、抱え込むことになった。

すぐ傍で再々再就職先を探し始めた夫

不気味な動き 居場所がバレてから、間もなくして、夫が再々再就職先を探し始めた。 そこまでは、はっきり覚えている。 けれど、それ以降の記憶は、正直あやふやだ。 頭の中が、常にざわついていた。 決まりかけた仕事を自分から断ったり、 勤め始めたと思ったら、すぐに辞めてしまったり。 その...