2026年8月15日土曜日

払わなければならない理由

夫が責める理由

夫が、

我が家に突撃訪問してくるのには、

理由があった。


1回目の支払いを済ませた後、

私は支払いを

続けられなくなっていた。


中学校の入学準備で、

思っていた以上に

お金がかかったのだ。


もし本当に

母子家庭になっていたのなら、

受けられる支援もあったと思う。


でも、

籍は入ったまま。


『離婚に同意する』


夫は、

一度はそう言っていた。


それなのに、

一向に話は進まない。


だからといって、

こちらから離婚の話を

切り出せるような状況でもなかった。


ひたすら夫を怒らせないようにしながら、

離婚というゴールに向かって、

藻掻いている最中だった。


そんな状況で、

支払いまで滞ってしまった。


夫はいつも、

自分の言動が

いかに正しいかを主張する。


「お前が間違っている」


そう思わせるための材料を、

いくつも持ち合わせていた。


この時も、

『約束を破ったお前が悪い』


そう言って、

私に罰を与えようとしていた。


窮地に立たされた私は、

何度も、

本当のことを

話してしまいたいと思った。


お義母さんからいただいた制服は

買ったものではない。

ご近所さんから譲り受けたものだ。


夫が言っていることは、

嘘なのだ。


それを言えば、

すべてがひっくり返る。


何度も、

そう思った。


でも――


言えるわけがない。


お義母さんと、

約束したのだから。


真実を隠すことも、

私たちを

苦しめていた。


たった1万2千円、されど1万2千円

次のお給料が入り、

ようやく2回目の支払いの

目処が立った。


金額は、

1万2千円。


たくさんお給料を

もらっている人にとっては、

小さな金額かもしれない。


でも、

私にとっては

決して小さくなかった。


その1万2千円があれば、

もう少し楽に生活できる。


中学校の入学準備で

使ってしまった分の

補填もしなければならない。


それなのに、

本来なら払う必要のないお金を

払い続けなければならない。


理不尽だった。


内心では、

ずっと夫に対して

怒りや嫌悪感を抱いていた。


それでも、

面と向かって

言うことはできない。


それほど、

怖かったのだ。


何か言えば、

その怒りが

私の周りにいる人たちに

向かうかもしれない。


それも、

怖かった。


だから私は、

何も言わずに

お金を振り込んだ。


そして、

お義母さんに連絡を入れる。


しばらくして、

メッセージが届いた。


『ありがとう』


たった一言だった。


でも、

その言葉を見た瞬間、

一仕事終えたような

気持ちになった。


これで、

終わった。


そう思いたかった。


でも――


まだ、

支払いは続く。


また翌月のお給料まで、

気を引き締めて

生活していかなければならない。


私は通帳を開き、

そこに記載された数字を

しばらく眺めていた。


1万2千円。


たった1万2千円。


でも、

私にとっては、

とても重い金額だった。

払わなければならない理由

夫が責める理由 夫が、 我が家に突撃訪問してくるのには、 理由があった。 1回目の支払いを済ませた後、 私は支払いを 続けられなくなっていた。 中学校の入学準備で、 思っていた以上に お金がかかったのだ。 もし本当に 母子家庭になっていたのなら、 受けられる支援もあったと思う。 ...