その優しさ、本物?
手紙の件以来、夫が急に変わった。
こまめに子どもに会いに来ては、
猫なで声で、
「元気だったか」
と聞く。
一緒に住んでいた頃には、
聞いたことのないような
優しい声色だった。
「頻繁に来られては困る」
と何度言っても聞き入れず、
権利を主張するのは
相変わらずだったけれど。
いつも手土産付きで、
子どものために
動いているようにも見えた。
私は疑心暗鬼になり、
その裏にある意図を
推し量ろうとした。
何か企んでるの?
そんな思いが
消えなかった。
大人の私でもそうなんだから、
子どもはもっと混乱する。
あれほどまでに、
”怖い”
”会いたくない”
と思っていた相手が、
まるで人が変わったように
接してくる。
何が本当で、
何が嘘なのか。
子どもには、
分からなくなっているようだった。
怒鳴らない夫を見るのは、
本当に久々だった。
言葉を選ばずに
話せるのも、
付き合い始めの頃以来だった。
信じてはいけない
どんなに優しくされても、
やっぱり信じられなかった。
というか、
私の本能が
めいっぱいのアラームを鳴らし、
『絶対に信じてはいけない』
と知らせていた。
夫が初めて、
「悪かった……」
と謝ったのは、
私たちが家を出てからだ。
でも、
それも家に帰ってこさせるための
単なるポーズだった。
本心では、
1ミリたりとも
自分が悪かったなんて
思っていなくて。
話し合いが長引くにつれて、
段々と本心を
表し始めた。
そういう積み重ねが、
きっと私の見る目を
養ってくれたのだと思う。
だから、
段々と冷静になった私は、
夫の猫なで声も、
『また嘘をついている』
と考えるようになった。
ただ、
このような変化を見て
動き出したのが、
お義父さんだった。
「(夫)も変わってきてる。
今度は(私)さんが変わる番だ」
そう言って、
私に受け入れることを求めた。
親でさえ欺けるあの人は、
本当の詐欺師なのかもしれない。
偽りの顔で、
これまでにも
多くの人を騙してきた。
自分の思い通りにするためなら、
何だってする人だ。
それが分かっていても、
義両親のように
騙されてしまうのだ。
