大きな円盤型の物体が目の前に
これはうちの子が小学校中学年頃のお話です。
その日は、友達とある団地で遊んでいました。
数名のメンバーが携帯ゲーム機を持って集まり、団地の隅で集まってしばらくゲームを楽しんでいました。
最初のうちは熱中していましたが、段々と飽きてきて何となく団地の周りをウロウロし始めました。
時間は夕方に差し掛かる頃。
周辺ではご飯の支度を始める家もあります。
歩いていると良い匂いがし始めて、その匂いにつられるように皆上の方に向かって歩き始めました。
遊び慣れた場所を目的もなく歩いていたら、いつも来ている大きな木の傍にたどり着きました。
その木の周りで何の気なしに目の前の空を見つめると・・・。
「あっ!あれ見て!」
最初に声をあげたのは一つ年上のお友達でした。
息子たちはその声につられて指さす方向を見て、同じように『あっ!』と声をあげました。
目の前にあったのは大きな大きな円盤型の物体でした。
円盤型の物体は動かず周りの風景と一体化して見えなくなった
これはテレビでやっていたUFOなのではないか。
その時に一緒に居たメンバー皆がそう思ったようです。
周りに大人は居ませんでしたし、居たとしてもこれまでにそのようなものを誰も見たこともありません。
だから、それが本当にUFOだったのかは分かりませんが。
不思議なことに、その物体は飛んでいくわけでもなくその場にしばらくとどまっていました。
飛行機ならその場にとどまることはできませんし、ヘリコプターなら形で分かります。
でも、そのどちらでも無かったと子どもたちは証言していました。
呆気に取られてしばらく見ていましたが、やがてその場にあるはずのUFOらしき物体の一部が見えなくなりました。
「なんか変じゃない?」
子供たちが口々にそう言いながら観察していると、その違和感の正体が分かりました。
何と、一部が周りの雲や空と一体化しているのです!
それで先ほどよりも見えにくくなって、形が変わったように見えたようでした。
このままでは風景と同化して見えなくなってしまう。
子供たちはもっと見晴らしの良い場所から見ようと思い、急いで移動しました。
走りながらもチラチラと確認し、『まだ大丈夫、見える!』と思っていたのですが・・・。
一番てっぺんにある場所まで到達した時、跡形もなく消えていました。
後から考えると不思議なことばかり
その時は、不思議な飛行物体だなという感じだったようですが。
後から考えると不思議なことだらけです。
最初に発見した違和感の『空に擬態した』というだけでも十分不思議な話ですが・・・。
その飛行物体は子供たちの居た場所からかなり近いところを飛んでいたにも関わらず音も聞こえませんでした。
更に、よくアニメなどで見るような激しく動いた後に消えたのではなく、その場で少しずつ周りと同化するように消えました。
子供たちはビックリして、しばらく呆然と見つめていたそうです。
あれは一体何だったのでしょうか。
あの団地はこのあたりではかなり小高い所にあり、周囲を見渡せるような環境です。
でも、まさか飛行機のようなものがすぐ近くを飛ぶような所ではありません。
だから、目の前で飛んでいたというだけでも不思議なのです。
あれから数年が経ちますが、あの日のことは未だに鮮明に覚えているようです。
あの場所から見たオレンジ色の夕焼けと共に。