玄関前で待ち続ける二人
ドアスコープから義両親の姿を確認した瞬間、私はすっかり冷静さを失った。
「なんで、お義父さんたちが来てるの?」
起きたばかりで、まだ頭も回らない。
それでも、スコープの向こうに立つ二人の姿は、
はっきりと見えていた。
ただ、ひたすらうろたえた。
「どうしよう……」
狭い室内を落ち着きなく歩き回った。
その間も、
何度も、何度も鳴るインターホン。
こんなに鳴らされたら、
ご近所さんに迷惑がかかる。
今日は休日だ。
ゆっくり過ごしている人も多いはず。
かといって、
明るく「こんにちは」と出迎える勇気もない。
結局、何もできずに
ただウロウロするだけだった。
そのうち帰ってくれればいい。
そう願ったけれど――
二人は、なかなか帰らなかった。
時計を見ると、
もう10分以上経っている。
その頃には、
ぐっすり眠っていた子どもも
異変に気づいて起きてきた。
眠い目をこすりながら、
「ママ、どうしたの?」
と聞いてくる。
私は口元に指を立て、
必死に“静かに”と合図をした。
まだ、ギリギリ居留守は使える。
応答がなければ、
留守だと思って帰るかもしれない。
私たちは息を殺し、
じっと、二人が去るのを待った。
近所迷惑
待てど暮らせど、
帰る気配はない。
それどころか――
玄関の前で、
大きな声で話し始めた。
独り言のようでいて、
明らかにこちらに聞かせる声量。
「……あれー? 居ないのかな?」
「居るはずなんだけどな」
「おかしいなぁ」
まるで、
“居留守を使われている”と
周囲に知らせるかのように。
確かに、居留守ではある。
でも、それを
こんな形で揺さぶられるとは思わなかった。
胸がざわついた。
これ以上続けば、
本当に近所迷惑になる。
追い詰められるように、
私は決断した。
ドアを、開けるしかない。
その直前、
子どもとヒソヒソ声で相談した。
「今、起きたことにしよう」
小さくうなずき合い、
私はゆっくりとドアノブに手をかけた。
