2026年2月6日金曜日

お世話になった先輩との別れ

引越し前日

いよいよ、

翌日が引っ越しの日。


私たちは朝から、

ご馳走やお菓子を用意して、

映画を見ながら、

ゆっくりと過ごした。


嬉しい。

でも、名残惜しい。


胸の奥に、

少しだけ引っかかるものがある。


夫に出て行ってほしくて、

必死で闘ってきたのだから。


そんな気持ちを抱くなんて、

罰が当たりそうだ。


それでも。


先輩と離れることが、

どうしようもなく寂しかった。


子どもも、

同じだったと思う。


いつの間にか、

先輩のことを

「(名前)ちゃん」と

名前で呼ぶようになっていた。


私がそう呼んでいたからだろうか。


とても懐いていて、

二人だけで出かけることもあった。


知らない人が見たら、

親戚だと思ったかもしれない。


それくらい、

自然な距離だった。


それが、

また二人きりになる。


不安がなかったわけじゃない。


夫との対決は、

まだ終わっていない。

執着も、消えてはいない。


それでも。


長い長い暗闇を抜けて、

ようやく、

光が差し込んできた。


そんな気がしていた。


子どもの涙

昼間は、

できるだけ明るく過ごした。


けれど夜になると、

少しずつ、

みんな口数が減っていった。


翌日のことを、

考えずにはいられなかった。


明日の今頃。

もう、この家にはいない。


そう思ったら、

無性に泣きたくなった。


でも、

子どもも必死にこらえている。


私が泣くわけにはいかない。

そう思って、

何とか気持ちを持ち上げた。


夜も更け、

そろそろ寝る時間。


けれど、

どうしても

「おやすみ」が言えなかった。


子どもは、

「ずっと起きてる」

と言い張った。


すると先輩が、

優しい声で言った。


「明日は荷物を持って移動するから、

 そろそろ休もう」


子どもは、

泣きそうな顔で、

何度も頷いた。


でも、

次の瞬間。


目に溜まった涙が、

ぽろぽろとこぼれ落ちた。


袖で拭いても、

拭いても、

止まらない。


それを見たら、

私も、

もう耐えられなかった。


泣きながら、

「ありがとう」

そう言う子どもを、

先輩は、

ぎゅっと抱きしめた。


私も、

二人を包むように、

抱きついた。


三人で、

泣いて、

泣いて、

泣いた。


最後に、

先輩が、

ぽつりと呟いた。


「何かあったら、

 すぐに戻ってきなよ」

久々の我が家へ

少しの緊張と期待 自分の家に戻るだけなのに、 少しだけ、緊張していた。 別居したばかりの頃は、 ただひたすら、 「夫と離れたい」 それだけを考えて生きていた。 でも、少し落ち着いてくると、 欲が出た。 「離婚できたら、いいな」 そう思い始めたら、 止まらなくなった。 あの日、電車...