気持ちも新たに——
自宅に戻り、私たちは新生活をスタートさせた。
夫のいない家。
もう自宅で怒鳴られることもない。
それが、
ただただ嬉しかった。
けれど同時に、不安もあった。
夫がこのまま疎遠になるとは、
どうしても思えなかったからだ。
案の定、
それからも私たちは関わり続けることになるのだけれど……。
あの頃の私たちは、
「これからの生活が楽しみ!」
そう言い聞かせるようにして、
必死でその事実から目を背けていた。
そして——
そんな願いも虚しく、
夫の介入は少しずつ、
けれど確実に激しくなっていった。
私がもっとも心配していたのは、
子どもが帰宅した後のこと。
夫が仕事をしていれば、
その時間にわざわざ来ることはないだろう。
けれど、無職の期間は違う。
いつだって来られてしまう。
毎日だって、可能だった。
それが怖くて、
私は子どもに『学童』を提案した。
放課後は友達と遊びたかった子ども。
その気持ちはよく分かる。
でも——危ないかもしれない。
そんな思いが、私の中で渦を巻いていた。
結局、
しばらくは様子を見ることになった。
断ち切れない鎖
私も子どもも、朝が弱い。
なかなか起きられない。
毎朝目覚ましはかけていたけれど、
一つでは足りなかった。
二つに増やし、
夜は早く寝るようにした。
それでも、
ギリギリになってしまうことがある。
ハッと目が覚めたら、
家を出る10分前——
そんな日もあった。
大騒ぎで支度をして、
バタバタと二人で家を飛び出す。
そんな毎日。
思い出すと、
とにかく慌ただしかった記憶が強い。
でも同時に、
楽しかった。
よく笑っていた。
ちょっとしたことで笑いが止まらなくなるくらい、
たくさん笑った。
夫がいないだけで、
こんなにも楽なんだ。
怒鳴られないだけで、
こんなにも安心して暮らせるんだ。
そんな日常に、
どこか戸惑いすら感じていた。
けれど——
心の片隅には、
いつも夫の存在が引っかかっていた。
抜けない棘のように。
罪悪感に入り込むように、
毎日鳴る電話。
やがて私は、
子どもを遠ざけることさえ難しくなっていった。
嫌々電話に出て、
恐怖の対象である「パパ」と話す子ども。
自由になったはずなのに。
私たちの心は、
少しずつ追い詰められていった。
