2026年5月14日木曜日

「今のままで大丈夫だよ」

月2千円のお小遣い

うちの子のお小遣いは、

月2千円だった。


小学校高学年の金額として、

多いのか少ないのかは分からない。


でも当時の我が家には、

それが精一杯だった。


毎月、お給料日にお金を下ろして、

そこから2千円を分ける。


「中学生になったら、

さすがに値上げしないとかな……」


そんなことを考えながら、

私はお財布を見ていた。


夏休みに入ると、

お小遣いを使う場面も増える。


友だちと外で遊べば、

喉が渇いてジュースを買う。


みんなが買っている横で、

一人だけ我慢させるのは可哀そうで。


2千円でも渡していて良かった、

そう思った。


図書館へ行く時も、

時々お小遣いを使っていた。


お弁当だけでは足りなくて、

お腹が空いた時におやつを買う。


限られたお金の中で、

自分なりに考えて遣り繰りしていた。


ある日、

お友だちは「1日100円もらっている」と聞いて、

「いいなあ」

と、ぽつりと言った。


その一言に、

私は少し胸が痛くなった。


やっぱり少ないよね。

もっとあげられたら良いのに。


そう思った。


でも子どもは、

すぐにこう続けた。


「でも、今のままで大丈夫だよ」


「欲しいものも、

スーパーなら安く買えるし」


その言葉を聞いて、

苦しくなった。


まだ子どもなのに。


家のお金のことを考えて、

我慢しようとしている。


本当はもっと、

気軽に「欲しい」って言っていい年頃なのに。


それでも、

不満をぶつけることはほとんど無かった。


与えられた中で、

ちゃんとやろうとしてくれる子だった。


私はそんな子どもに、

何度も助けられていた。


「ママ、お仕事おつかれさま」

夕方。

図書館へ迎えに行った時だった。


子どもが駐輪場でリュックを開け、

何かを探している。


忘れ物かな。


そんなふうに思いながら見ていたら、

小さなおまんじゅうを差し出してきた。


以前、私が

「これ、美味しいね」

と言ったことのある物だった。


「え、これどうしたの?」


そう聞くと、

少し照れながら言った。


「ママ、仕事で疲れてるから」


「甘いもの食べたら、

ちょっと元気出るかなって思って」


その瞬間、

涙が込み上げた。


この子は、

ちゃんと見ていたんだ。


仕事から帰る私の顔も。

疲れていることも。

甘いものを食べると、

少しホッとしていることも。


そして、

少ないお小遣いの中から、

自分ではなく私のために買ってくれた。


嬉しくて。


でも同時に、

切なかった。


本当なら、

子どもがお母さんを支えなくてもいいのに。


もったいなくて、

すぐには食べられなかった。


冷蔵庫に入れて、

何日も眺めていた。


賞味期限ぎりぎりになって、

やっと食べたそのおまんじゅうは。


少ししょっぱい気がした。

「今のままで大丈夫だよ」

月2千円のお小遣い うちの子のお小遣いは、 月2千円だった。 小学校高学年の金額として、 多いのか少ないのかは分からない。 でも当時の我が家には、 それが精一杯だった。 毎月、お給料日にお金を下ろして、 そこから2千円を分ける。 「中学生になったら、 さすがに値上げしないとかな…...