2026年5月11日月曜日

「一度消えたはずの同居話」

差し入れを続ける日々

夫とは、しばらく揉めていた。

(と言っても、一方的に責められるだけだったが)


提示された金額は払えない。

同居も受け入れない。


その一点で、完全に行き詰まっていた。


夫は苛立ちを隠さず、

きつい言葉を何度もぶつけてきた。


そのたびに、

私は必死で取り繕うしかなかった。


ただ、それも限界が近いと分かっていた。

時間稼ぎは、もう通用しない。


そんなある日、

お義母さんが体調を崩した。


季節の変わり目にはよくあることだった。


周囲も、軽い不調として受け止めていた。


ただ問題は、家の中だった。


義実家では、

家事のほとんどをお義母さんが担っている。


お義父さんは仕事。

そして夫は、何もしない。


食事を作れる人がいないだけで、

家はすぐに回らなくなった。


出前や冷食だけで続けるには限界がある。


だから私は、

1日おきに料理を作って運ぶようになった。


交通費も材料費も、正直痛い。


それでも、そこには別の狙いがあった。


同居という形で返ってきた要求

もともとは、義両親の差し入れがきっかけで、

夫から金銭を要求されるようになった。


ならば逆に、

こちらも差し入れを続ければ帳消しになるはずだ。


そう考えた。


お金はかけられない。

その代わり、手間をかける。


材料費を抑えるために、

私たちの食事も同じメニューにした。


肉は大パックでまとめ買い。


そうやって、

「それなりに費用がかかっているように見せる」

ことを意識した。


余談だが、

なぜか義両親は私の料理をよく食べてくれる。


適当に作った煮物でも、

「おいしい」と言ってくれる。


その反応が分かっていたから、

この方法を選んだ部分もあった。


通い続けること3週間。


コスパの良い料理を作っては運び続けた。


回数だけ見れば、

義両親からの差し入れとほぼ同じになっていく。


その頃には、お義母さんの体調も回復していた。


私はそこで、夫に話を切り出した。


「大変だと思って差し入れしていたけど、

 やっぱり手間も費用もかかっている。

 これで、そちらから受け取った分と相殺にできないかな」


そう伝えると、夫は何か言いたそうにした。


そこへ、さらに続ける。


「栄養も考えて作ってるから。

 お義母さんも元気になって良かったね」


沈黙のあと、

夫は最終的にそれを受け入れた。


夫への支払いは、消えた。


その代わりに出てきたのは、

まさかの”あの話”だった。


「義両親のために、同居を考えてほしい」


その言葉が出た瞬間、

空気が一段重くなった。

「一度消えたはずの同居話」

差し入れを続ける日々 夫とは、しばらく揉めていた。 (と言っても、一方的に責められるだけだったが) 提示された金額は払えない。 同居も受け入れない。 その一点で、完全に行き詰まっていた。 夫は苛立ちを隠さず、 きつい言葉を何度もぶつけてきた。 そのたびに、 私は必死で取り繕うしか...