亡き人と話せる親戚の存在が信じるきっかけに
昔は亡くなった人と話せるなんて漫画の中だけのことなのだと思っていました。
でも身近にそういう方が居たことで信じるようになりました。
長年腎臓を患っていた祖母が亡くなったのは高校生の頃です。
叔父の奥さんのお母さまは、ご高齢にも関わらず遠方から駆けつけてくれました。
その頃既に足もお悪くされていたので、移動はさぞかし困難なことだったろうと思います。
けれど、これでお別れになってしまうということで遠方からすぐにいらっしゃいました。
祖母の家は一般的な大きさです。
同居している子供以外も集まってきて家の中には余分なスペースがありませんでした。
それでも遠くから来てくれたのだからと、祖母宅に『どうぞお泊りください』と言ったのですが・・・。
『こちらのことは気にしないでください。近くの旅館を既に手配してあります』と固辞されました。
実際、色々な準備でバタバタとしていました。
それで、申し訳なく思いつつも旅館に泊まっていただくことになりました。
祖母が旅館にご挨拶に・・・
その夜。
お通夜に参列された後、すぐ傍の古びれた旅館に泊まられました。
その旅館は外観を見るとかなりくたびれていて、『あそこって営業していたんだ!』と驚くようなたたずまいです。
本来ならもっと新しい建物の旅館にご案内したかったのですが、田舎ですからすぐ近くには宿泊できる施設がありません。
しかし、その旅館なら祖母宅まで歩いて移動できます。
翌日も告別式がありましたので、やはりすぐに移動できる場所にあるというのは便利でした。
叔父が一度お義母様を旅館に送っていき、用事があったので戻ったようなのですが。
不思議なことが起きたのはその後です。
その方が私服に着替えて部屋で寛いでいると、急に祖母が現れました。
そして、
「本日は遠いところをわざわざ・・・」
と挨拶を始めました。
これが私なら驚いてしまうところですが。
その方は普段から視えるので、驚くことなく言葉を交わしたそうです。
祖母は何度も『ありがとうございました』と言いました。
年齢も近かった祖母とその方には、私たちには分からない絆のようなものがあったのかもしれません。
言葉を交わした後、祖母は消えていきました。
祖母が亡くなった時には本当に悲しくて号泣しました。
でも、最期の方はベッドの上で寝たきりだったので、その話を聞いて『動けるようになったんだ!』とちょっと救われた気がしました。