2026年9月4日金曜日

「今はまだ幸せだ」と思った卒業式

卒業証書授与のその時

最初から、

涙をこらえるのに必死だった。


しゃんとしていなければ。


そう思っても、

色んなことが

思い出される。


まだ子どもが乳児の頃。

夫のターゲットが

100%私であることに

安心した。


辛くても、

自分が我慢すれば

”普通の家族”

を続けられる。


そう思ったのは

間違いだった。


段々と言葉を覚え、

自分の意思を持ち、

様々なことを要求するようになる子ども。


日々の成長が

どれほど嬉しかったことか。


でも、

その変化が

状況を一変させた。


夫のターゲットが

少しずつ変わっていく。


自我の芽生えた子どもを

持て余したのかもしれない。


まだ幼児の子どもに向かって

信じられないような暴言を吐き、

時には叩く。


最初は手をパチン。

おしりをペチッと。


そんな程度だった。


理由もそれなりにあり、

その時は

理不尽だとは思わなかった。


それが、

気づいたら

虐待になっていた。


夫の機嫌に

振り回される日々。


おかしいと思っても、

恐怖心から動けない。


次第に、

『私が悪いからこうなった』

と考えるようになった。


辛い日々が蘇るたびに、

思う。


『今はまだ幸せだ』と。


卒業証書授与式を

そんな気持ちで見守った。


子どもは、

落ち着いた様子で

とても立派だった。


その表情は

どこか大人びて見え、

何だか眩しかった。


感動で終わるはずが……

式の間中、ずっと

感動しっぱなしだった。


あんなに小さかった子が、

こんなにも大きくなった。


たいへんなことも多かったけれど、

一つずつ乗り越えてきた。


子どもは、

小さな同志でもあり

一番に守るべき存在。


そんな大切な我が子が

堂々と式に臨む姿は

とても誇らしかった。


もうすぐ終わる。


泣きすぎて

ハンカチは、すっかり濡れていた。


それを

バッグにしまおうとした。


その時――


目の端に

見覚えのある人物を捉えた。


夫だ。


しかも、

義両親まで居る。


来るとは分かっていた。

それでも、

とても落胆した。


こんな晴れの日であっても、

彼らには関係ない。


何かが起きそうな、

そんな予感がした。

「今はまだ幸せだ」と思った卒業式

卒業証書授与のその時 最初から、 涙をこらえるのに必死だった。 しゃんとしていなければ。 そう思っても、 色んなことが 思い出される。 まだ子どもが乳児の頃。 夫のターゲットが 100%私であることに 安心した。 辛くても、 自分が我慢すれば ”普通の家族” を続けられる。 そう...