諦めないお義母さん
お義母さんの故郷で孫をお披露目することが、
よほど大事らしい。
いつも何かを押し付けてくるのは
お義父さんの方だけど。
この時は、
珍しくお義母さんから
何度も要請があった。
以前にも書いたが、
お義兄さんは色々あって
離婚している。
お子さんはいなかったので、
義両親にとって、うちの子は
唯一の孫になる。
思い入れが強くなるのも
仕方のないことだと思う。
ただ、
それとこれとは話が別。
何でも許せるわけではない。
2時間後、子どもが
塾から帰ってきた。
はっきりと断ったんだから。
何も伝える必要はない。
そう思い、
話題に出さなかった。
この件は、
これで片付いたかに見えた。
でも、違った。
予定の日まで時間がなかったからか、
1日に何度も連絡が来た。
既読スルーを決め込み、
着信にも反応しない。
それでも連絡をしてきて、
ついには直談判にも来た。
手にはお土産を持ち、
まるで『顔を見に来ただけ』のように
装うのだけれど。
結局、最後は帰省の話になる。
こちらの気持ちを伝えても、
まったく受け入れる気配がなく、
ほとほと疲れていた。
対応の仕方を変える
それまで、言葉で伝えようとしていたが、
無駄だったのだと悟った。
伝わらないのなら、
こちらの戦法を変えればいい。
私は、何を言われても
『その件は済んだこと』
として通すことに決めた。
いちいち取り合わず、
のらり、くらりとかわす。
「ああ、例の話ね」
という感じで流す。
言われるたびに、いちいち
「それは、この間も申し上げましたが……」
なんて反応するから、
余計に諦めきれなくなるのだ。
もう済んだこととして扱い、
議論にもならなければ、
さすがに諦めるだろう。
消極的なやり方だけど、
これが一番効くだろうと思った。
ところが、
お義母さんが急にはっきりと、
「もう一度、考えてみてちょうだい!
お願いします!」
と言い始めた。
「自分も年だから、
次があるか分からない」
と、泣き落としまでしてくる。
でも、
子どもが泣いていた時、
義両親は助けてくれなかった。
自分の中で消化できない出来事が
あまりにも多すぎて。
情に訴えかけるお義母さんの姿を、
冷たい目で見ていた。






