不気味な静けさ
彼女からの攻撃を受けている間、不気味
なほど
夫は静かだった。
これまでなら、
絶対に何か言ってくるような状況。
それなのに、
まったく連絡もなく、
静観を貫いている。
お義母さんのことだって、
あれほど勘の良い人が
気づかないはずがない。
あれこれ言われないのは
正直なところ助かった。
でも、
その静けさも
どこか不気味だった。
何も言ってこないことが、
かえって怖い。
あの件に関しては、
夫自身は知らない体を貫いたほうが
都合が良いということも
あるのだろう。
その真意は、
最後まで分からなかった。
ただ、
その間も私は、
夫の彼女と
連絡を取ることになってしまった。
気の小さい私は、
お義母さんに
文句の一つも言えない。
お下がりなんだから、
制服代なんて
本当は必要なかったはずなのに。
それを盾に、
子どもとの面会まで
要求されるなんて。
そんなこと、
予想もしていなかった。
文句の一つでも言えたら、
少しは気持ちも
収まったのかもしれない。
でも、
そんなことを言えば、
また何が起こるか分からない。
だから、
言いたいことを
ぐっと飲み込んで、
ただ、
どうすれば回避できるのかを
考えていた。
中学生になる前に会いたい
子どもが中学生になる前に
会いたい。
それが、
義両親の願いだった。
「お祝いもあげたいから」
そう言われて、
一瞬、
純粋に子どものことを
思ってくれているのかな?
とも思った。
だけど、
すぐに現実に引き戻された。
義両親とコンタクトを取れば、
もれなく夫もついてくる。
会えば、
余計なことをするはずだ。
そして、
少しだけ薄れた執着も
また再燃して、
酷くなるだろう。
そう考えると、
とても怖かった。
それに、
これまでのことを考えれば、
どのような状況であっても
受け入れることなどできない。
虐待して、
子どもを痛めつけた夫。
子どもの心を守るためにも、
絶対に会わせてはいけない。
それだけは、
譲れなかった。
私は、
考えに考えて、
『今はそっとしておいてほしい』
と伝えた。
すると、
すぐに返信があり、
『それは、いつまでですか?』
と聞かれた。
その言葉を見た瞬間、
また追い詰められたような
気持ちになった。
でも、
曖昧に答えるわけにもいかない。
私は、
こう答えた。
『今会ったり話したりすれば、
よりネガティブな感情を抱き、
ずっと会えなくなるかも』
脅しにも似たその言葉を、
決して意地悪で
言ったわけではない。
これ以上傷つきたくない。
これ以上、
子どもを巻き込みたくない。
それが、
嘘偽りのない
私の本心だった。
会いたいという気持ちは、
一ミリもなかった。
ひっそりと
幸せに生きていきたい。
ただ、
それだけだった。
それが、
私たちの望むことだった。






