予想外のことに困惑
「義両親が子どもの服を買った」夫からそう連絡があり、
持ってきてくれることになった。
本音を言えば、断りたい。
でも、せっかくのご厚意を
無下にするわけにもいかない。
私は念のため、何度も確認した。
義両親だけ、なのかと。
もし夫が来るとしたら――
それだけで、この先の数日を
沈んだ気持ちで過ごすことになる。
だけど夫は、
「俺は用事があるから」
と言った。
それを聞いて、
私はすっかり安心していた。
約束の日。
朝早く、インターホンが鳴った。
ドアを開けると、
満面の笑みを浮かべた義両親が立っていた。
その時、
子どもの怯えた表情を
私は見逃さなかった。
夫の虐待を見ても、
義両親は軽く咎めるだけで、
止めてくれることはなかった。
子どもは、
そのことをずっと引きずっていた。
嫌な記憶が蘇る。
でも、追い返すこともできない。
複雑な気持ちのまま、
私は玄関のドアを大きく開けた。
その瞬間。
視界の端に、
見覚えのある姿が映った。
少し先の角を曲がる――
夫だった。
上機嫌の義両親と夫
えっ?どうして?
夫の姿を見た瞬間、
私は軽いパニックに陥った。
戸惑っている間にも、
夫はどんどん近づいてくる。
気づけば、もう目の前にいた。
本当なら
「どうぞ」
と中へ促すべきなのだろう。
でも、言葉が出てこない。
やっと絞り出したのは、
「用事は?」
という一言だった。
その日、
彼らは昼過ぎまで滞在した。
昼食まで持参していて、
昼時になると、
いきなり袋から取り出した。
広げられた食事にも、
子どもは箸をつけない。
夫は面白くなさそうな顔をしていた。
でも、
食べられないものは食べられない。
きっと、
喉を通らないのだ。
重苦しい時間が流れた。
ようやく帰る気配を見せたのは
夕方だった。
5時頃、夕飯の話題になる。
何となく、
誘われているような気もした。
でも私は、
気づかないふりをした。
「では、私たちも買い物に行くので」
そう言って、
ようやく終わりそうだと
腰を上げた、その時。
夫が、
塾のパンフレットを手に取った。
そして、
子どもを見ながら言った。
「お前、ここに行きたいの?」
その言い方は、
妙にトゲがあった。
子どもは黙り込む。
慌てて、
私がフォローする。
それで終われば良かった。
けれど夫は、
「こんな所でいいのか」
「普通レベルの学力をつけるなら」
などと、
ネチネチと言葉を続けた。
一見、正論に聞こえる。
でもその言葉は、
確実に子どもの心を抉っていた。
その中で、
何度も繰り返された言葉。
「バカ」
さすがに義両親も、
黙り込んだ。
私は必死で、
別の話題を振る。
おかしな空気の中で、
子どもはただ
俯いたまま固まっていた。






