夫の恋愛に新たな動きが
ずっと怪しんでいたに違いない。夫が『子ども』というワードを出した時から。
否定しても否定しても、毎回のように探るようなことを言われていたらしい。
それで夫は少し疲れていた。
まあ、自業自得と言えばそうなんだけど。
上手くいって欲しい私としては、こんなことで終わられたら困ると思った。
「いっそのこと本当に独身になったら?」
とでも言おうとしたが、止めた。
だって機嫌が悪かったんだもの。
順調な時には分かりやすく機嫌も上々で、雲行きが怪しくなってきたら途端に態度が悪くなった。
大人なら、自分の機嫌くらい自分で取って欲しい。
でも、夫にはそれができない。
周りが気を使ってくれるのが当たり前で、自分は整えられた環境で過ごすだけ。
そういう人が誰かに好かれようと思ったら相当無理をするしかない。
もっとも、夫は外面を取り繕うのが上手かったので、周りからの評判はすこぶる良かった。
万が一怒っている場面を見られたとしても、
「あの人が怒るくらいだから、相手がよほど悪いことをしたのだろう」
という感じになった。
あの時も、ゲーミング女子の前ではにこやかに対応し、通話を切った後にイライラしていたようだ。
それが分かっていたので、私も極力接触を避けた。
どうせ八つ当たりされるに決まってる。
私には何をしても良いと思ってるんだから。
イライラのはけ口にされないように気を付けていたら、その役目はお義母さんになっていた。
お義父さんの方が夫と居る時間は長かったんだけど。
同じように気の強いところがあるので反論されるのを嫌ったのかもしれない。
お義母さんの場合、言われっ放しで打たれ弱いという私との共通点があった。
そうやってイライラを解消しながらもゲーミング女子とのやり取りを続けた夫。
相手は繰り返し『独り身だよ』という夫の話を確かめたくて、ある行動に出た。
それは、
「一度家に行ってみたい」
という提案だった。
ゲーミング女子とも疎遠に・・・
ゲーミング女子からの提案に悩んだ夫。
最終的にどうしたのかと言うと、友だちの家を借りた(笑)
一人暮らしの友人の家で待ち合わせをして話をして。
その間、家主である友人は外に出ていてくれたらしい。
夫が住んでいる場所ということにしたのかどうか。
そのあたりのことは確認できなかった。
その後も押しかけてきたらどうするのかと思ったが、どうやら会ってみたら急速に興味が失われたようだ。
やがて一緒にゲームをする頻度も減り、いつの間にかゲーム自体からも遠ざかった。
その後、夫の口癖は
「俺も趣味を持たなきゃな―」
になった。
『そんなことを考える前にきちんと仕事をしてくれ』と内心思っていた。
でも、あの女性のお陰で上手く発散できたのか仕事も何やかやと続けていた。
このまま続けてくれれば、もしかしたら養育費をもらうという未来も見えてくるかも・・・。
そんな期待をしつつ、自分の仕事をがんばった。
どのみちシングルマザーになるのだ。
自分で頑張るしかない。
『子どもを守らなきゃ。頑張って育てなきゃ』という決意が私を強くしてくれた。