心無い言葉に傷つけられたあの頃
せっかく離れたのに、相変わらず夫の顔色を窺い、
コントロールされていた。
その姿は、きっと他の人から見れば
異様だったのだと思う。
理解してくれる人は、ほとんどいなかった。
周りから、
「本気で困っていないんでしょう」
そう言われても、うまく反論できない。
少しだけ事情を話してしまった人から、
「自分でその状況を選んでいるんじゃないの?」
そう言われたこともある。
それからは、
家庭の話をするのを
一切やめた。
気にしなければいい。
そう思おうとしても、
言葉は簡単には消えてくれない。
ひとつひとつに傷ついて、
静かに削られていった、あの頃。
気づけばまた、
周囲から孤立していた。
そして、
離婚の話も遅々として進まなかった。
夫がその気にならない限り、
進むはずがなかった。
「家族と一緒にいられないのなら死ぬ」
その言葉は、
呪いのように
私たちを縛り続けていた。
「パパを許して」
夫は、何度も繰り返した。
「パパを許して」
本心から悪いと思っているわけではない。
ただ元に戻るために、
子どもに許しを求め続けた。
そのやり方がどれだけ姑息で、
人の思考を縛るものなのか。
大人の私には分かる。
でも、子どもには分からない。
ふんわりとした罪悪感だけが残り、
それが子どもを苦しめていった。
それ以上しつこくされないために、
「パパのこと、許すって言おうかな」
子どもがぽつりとつぶやいたとき。
私は伝えた。
「心の底からそう思えないなら、
絶対に言わなくていい」
まず子どもから懐柔しようとしているのは、
見え透いていた。
本当に、うんざりした。
でも、それが夫のやり方だった。
頑なな私には、
強い態度で圧力をかけてくる。
Noと言えない空気を作る。
そして、あの段ボールの一件。
送り返したあと、
義実家に呼び出された。
子どもも一緒に連れてこい、と。
けれど、
何が起きるか分からないという恐怖があった。
巻き込まれるかもしれない。
そう思い、
その日は私ひとりで向かった。






