断っても伝わらない食事の差し入れ
夏休みの間、突然訪問してくること以外にも
困っていたことがあった。
それは、
ご飯の差し入れ。
家計を心配して、
わざわざ持って来てくれたのかもしれない。
それ自体は有難い。
でも……。
子どもが食べないのだ。
うちの子は、
意外と何でも食べる。
辛い物や苦い物は苦手だけれど、
中学生の頃には、
特に苦手なものもなくなっていた。
それなのに、
持って来てくれたご飯は
どうにも口に合わないらしく、
いつも結構な量が残った。
もったいないし、
食べきれないし、
何より申し訳ない。
それで、断ったのだが、
「気にしないで」
と、何度も持って来てくれた。
気にしないでと言われても、
気になってしまうのよ。
遠慮しているだけだと
受け取られたようで、
結局、夏休みが終わるまで
こちらの気持ちは全く伝わらなかった。
「育ち盛りだから」
そう言われるたびに、
「その、育ち盛りの子が
食べないのよ」
と思っていた。
夫に悟られないように、食べたふり
差し入れをもらった時、
非常に気を付けていたことがあった。
それは、残していることを
夫に勘づかれないようにすること。
勘づかれたら、
どんな仕打ちが待っているか分からない。
子どもに取り入りたくて、
表面上は優しくしていても。
夫の中での優先度は、
義両親>子どもなのだから。
きっと激怒するだろう。
厚意を踏みにじったと
責められるに違いない。
そんなことがあってはいけないと、
いつも全部食べたように振る舞った。
さらに困ったことに、
容器をお返しする時には
感想まで聞かれた。
何と言えばいいのか分からない。
本当に食が進むようなものなら、
嘘をつく必要もなかった。
でも、
実際には残してばかり。
食べきれたものは
あったのだろうか?
私が思い出せる限りでは、
なかったと思う。
だから感想を聞かれても、
いつも言葉に詰まり、
当たり障りのないことを言った。
夫がそれ以上の感想を
求めていることは分かっていた。
だけど、言えるわけがない。
本当は、
「もう持ってこないでほしい」
と思っていたのだから。
こうして、
義両親の餌付け作戦は
見事に失敗した。
それどころか、
「一緒に住んだら、
毎日ご飯がつらいだろうな」
などと言われてしまう始末。
これは未来永劫、伝えることはないが、
やはり食の面でも合わないようだ。






