お金を理由に断り続け……
「子どもを塾に通わせろ」一度言い始めたら、
それしか言わなくなった。
連絡のたびに
直接言われる。
電話に出なければ、
メッセージで催促される。
はっきり言って、
ノイローゼになりそうだった。
夫の意向を無視すること自体が、
私たちにとっては
恐ろしいことなのだ。
何か言われるのではないか。
何かされるのではないか。
そんな恐怖に怯えながら、
抗う日々。
メッセージを無視しても、
解決にはならない。
なかなか言う通りにしないと、
今度は夫が痺れを切らし、
もっと強引な手に出るかもしれない。
私たちは、
連絡が来るたびに
気持ちがふさいだ。
言葉には出さないけれど、
お互い、分かってしまう。
他のことをしていても、
夫のことが怖くて、
頭の中はそればかり。
私は耐えきれず、
お金のことを言い訳にして
通えないことを告げた。
それでも夫は諦めず、
「そのくらい、何とかなるだろ」
と言う。
その割に、
「自分が出す」とは言わない。
何度もやり取りをして、
そのたびに、
「本当にカツカツで
余裕がないから」
と言い続けた。
俺が家庭教師をやるよ
話が進まないことに苛立ったのか、
夫はある提案をしてきた。
「俺が家庭教師をやってやる」
聞いた瞬間、
思わず言った。
「それは困るよ」
「俺だって父親だ。
父親が教えてやるって言ってるのに、
それの何が困るんだ!」
そう不満げに言うけれど、
虐待をしていた父親に
教わりたい子なんていない。
何度も繰り返し伝えたが、
やはり伝わっていなかったようだ。
この時もまた、
「まだ、あなたのことを怖がっている」
と説明した。
それなのに、理解しない。
理解しようとしない。
俺に悪いところなんてない。
いつだって、
夫はそういうスタンスだった。
だから、
子どもに拒絶されているという事実を
受け入れなかった。
「金が無いって言うなら、
もうそれしか無いだろ」
そう決めつけた夫は、
「それで決まりな」
と言い捨てた。
これは大変なことになった。
子どもと二人で青ざめたが、
何とかしなければと焦っても
良い案が浮かばなかった。






