突然の電話
驚いたことに、彼女はお金の受け渡しにまで
口を出してきた。
振り込みをすることで、
お義母さんとは
話がついている。
それなのに、
突然、
『自分が受け取って
お義母さんに渡す』
と言い始めた。
どうして、
そんな面倒なことを?
あの人たちが
何を考えているのか、
さっぱり分からない。
私はただただ、
困惑するばかりだった。
それから、
1週間ほど経った頃。
その件についてだけ、
返信することにした。
「振り込みするので、
ご心配いただかなくても
大丈夫です」
私が伝えたのは、
それだけだった。
それなのに――
何が、
彼女の逆鱗に触れたのだろう。
突然、
電話がかかってきた。
夫と一緒にいる時には
聞いたことのないような、
激しい怒りのこもった声。
何かを激しく
まくし立てている。
でも――
何を言いたいのか、
さっぱり分からない。
興奮しているせいなのか、
滑舌まで悪くなっている。
結局、
私が聞き取れたのは、
たった一言。
「バカにしてるの?」
その言葉だけだった。
「もう面倒だから」
あまりの剣幕に、
私はただ驚いて、
黙って聞いていることしか
できなかった。
ひとしきり
怒りをぶちまけた後、
彼女は言った。
この件については、
夫と話ができている。
夫も、
同じ気持ちだから。
それを聞いているうちに、
私は思った。
何だかよく分からないけれど、
これは、
厄介なことになったぞ。
そう感じた。
すぐにお義母さんに連絡し、
これまでの経緯を
かいつまんで説明した。
すると――
さらに驚くことがあった。
すでに、
お義母さんのところにも
彼女から連絡が
入っていたのだ。
内容も、
ほぼ同じだった。
一方的に話をされて、
電話は終わったらしい。
「すごい勢いでしたよね?
大丈夫ですか?」
そう尋ねると、
お義母さんは、
終始穏やかだったと教えてくれた。
そうか。
彼女も、
相手を見て
態度を変えているんだ。
そういうところも、
夫とよく似ている。
心の中で
そんな悪態をつきながら、
私はお義母さんの
返事を待った。
すると――
返ってきたのは、
思いもよらない言葉だった。
「もう面倒だから、
あの人の言う通りでいいわ」
一瞬、
意味が分からなかった。
でも、
言う通りにするということは、
つまり――
『彼女に
手渡しする』
ということだ。
その瞬間、
何だか、
裏切られたような気持ちになった。
「それは、ちょっと……」
思わず、
そう言った。
でも、
お義母さんは
もう面倒になっているようだった。
結局、
『そっちで上手くやって』
そんな感じで、
電話は切れた。
私は、
携帯を握りしめたまま、
しばらく動けなかった。






