厳かな雰囲気の中……
早めに家を出て、周りを警戒しながら歩いた。
おめでたい日だから、
夫のことなんて
考えたくない。
でも、
警戒しないわけにもいかなくて、
本当に腹立たしかった。
私がもっと
上手くやれば良かった?
そうすれば
子どもも傷つけずに済んだ?
今さら考えても仕方のないことが
頭の中でループする。
悶々と考えすぎて
息苦しくなってきたところで、
小学校の門が見えた。
よし。
気持ちを切り替えよう。
そう思いながら、
門を通り過ぎた。
中には
既にたくさんの保護者が集まり、
会場内へと向かっている。
みんな笑顔で、
私も少しだけ
晴れ晴れしい気持ちになった。
会場には
椅子が並んでいる。
どこに座るのも自由だ。
前の方が見やすいのだろうが、
これも性格なのか、
最後列から一つ前を選んだ。
ひんやりとした椅子。
独特のピンとした空気感。
もうすぐ
卒業式が始まる。
涙、涙の卒業式
涙もろいという
自覚はある。
子どものころなんて、
よく「泣き虫」と
からかわれたものだ。
そんな性格も相まって、
卒業式という独特の空気は
涙を誘うのに十分だった。
始まる前に
うっすらと流れてくる
音楽を聴くだけでも
じわっと涙が浮かぶ。
これから始まる式のことを
想像してしまう。
始まるまでの十数分、
ハンカチを握りしめたまま
会場を見つめた。
そしてとうとう、
卒業式が始まった。
入場してくる子どもも
いつもよりもだいぶ
緊張しているように見えた。
歩き方がぎこちない子もいた。
それをほほえましく思いながら、
我が子が来るのを待つ。
もうすぐ、
もうすぐ来る。
チラチラと出入り口を
眺めていたら、
とうとうやってきた。
緊張していたと思うのだが、
柔らかい笑顔を浮かべながら
目の前を通り過ぎていく。
途中、
遠目で私を見つけた子どもは
小さく手を振った。
私も笑顔で
手を振り返す。
何だか子どもが眩しくて、
一気に涙がぶわっとあふれ出した。





